島で暮らしていた頃着ていたはっぴを出し,ヘルメットをその横に並べ,NHKを夜通し見るのが台風前夜の僕だ。台風は興味深い。後からできたのが先に消えたり,追い抜かれたり,余所に行ったと思ったら帰ってきたり。大きな自然災害をもたらす脅威ではあるが,名前が付いているからか,なんだか親しみがある。
とは言え,30年ほど前の19号台風に僕の教員住宅の屋根はもっていかれた。
台風一過。郷の人たちに助けられ,いちばんに復旧してもらった僕の家の屋根は,いろいろな方々の物置の屋根から譲り受けた瓦が並んだ。黒に青に緑にみかん色。モザイク模様の屋根瓦は僕の自慢だった。
そんなことを思いながらの今夜の12号台風。ぼくはヘルメットを抱えながら今夜もNHKにしがみついている。