学会に学ぶ

若い頃は研究の成果を学会に問うことが楽しかった。国語教育関係の学会や言語言語学関係の学会,方法学系の学会などでも発表を繰り返していた。

今は年に一度か二度,小さな研究の小さな経過を丁寧に聞いてもらうことにしている。ケーススタディである僕の研究は,はなばなしい成果ではないし上手く伝えられないことも少なくない。だからこそ丁寧さがいちばん大切だと分かっている。

きょうの学会でも小さな研究の小さな経過を丁寧に語ることを心がけた。そして,多くの質問と指摘を受けた。そのことがこれからの1年をつくる。学会に学ぶと実感する瞬間だ。

帰り道,車の窓から入ってくる風は夏の終わりをしらせてくれる。そういえば今日の20分をつくるため,8月をよく覚えていない。だけど,この学会帰りの爽快感が,研究することを仕事にしている矜持を僕に問いかけてくれる。そして,「いいかげんになるなよ」と教えてくれる。だから「まだまだです」と僕はつぶやいている。