10月15日,甲子園。5回2アウト。ランナー1塁。縦縞のピッチャーの2球目が青いバッターの顔面付近を襲う。大きくのけぞった背番号25は弾かれたように背中からバッターボックスを外れ,ぬかるんだ地面に足をとられて転倒した。青と白のユニホームは泥で色が変わった。バットを汚れから守ったからか顔にまで泥がはね上がっている。ニュースや新聞が田んぼのような球場と報じたが実際はそれ以上の泥だったはずだ。ベンチに戻り,青いタオルで泥をぬぐい,バッティンググローブを交換した25番は,打席に戻り8球目をライト前にはじき返した。
試合後のインタビューの「遊びごとではないので」の言葉が頭に残る。
「遊びごとではないので。」その通りだ。わたしたちの「今」は遊びごとではない。